終戦後、荒廃した日本経済を早急に復興するため、重要基幹産業の再建が各方面 より強く要望され、中でも特に当時のエネルギー源でありました石炭の増産緊急対策が強力に推進されました。
　これと平行して政府は、医療に恵まれない多くの中小炭鉱の従業者及びその家族の福利厚生と、炭鉱地域の環境改善を目指して、炭鉱医療施設の普及と充実に一段と力を注ぎました。当福岡県においても、特に筑豊地区で隆盛を極めた石炭産業を背景にこの計画が進められ、昭和24年9月、県内に10カ所の医療施設の開設が決定され、福岡県社会保険協会の下に運営委員会を設置し、これをして開設準備にあたらせました。
　その結果、第一次開設の行われました昭和25年6月1日以降、準備完了の院所を順次開設し、翌昭和26年3月迄に、２病院８診療所全部の開設を終え、診療を開始するに至りました。
　その後、昭和26年8月22日、財団法人福岡県社会保険医療協会が設立され、それ迄暫定的に運営にあたっていた福岡県社会保険協会より施設、職員その他一切の財産の引き継ぎを受け運営を開始しました。
　特に、開設時のいきさつからして、傘下各施設の土地建物はその殆どが国有財産でしたが、逐次買収を重ね、昭和49年3月社会保険稲築病院を最後にその全てを完了しました。
　昭和30年代よりエネルギー革命による石炭産業の衰退によって当会設立当時とは異なった社会情勢となりましたが、当会は一貫して国の医療施策にのっとった結核対策をはじめ、救急医療対策、生活習慣病対策など常に時代に即した医療活動を展開し、地域社会の医療の発展と公衆衛生の向上に寄与してきました。今後とも医療・福祉・保健を提供する立場から、患者さんの権利を守り、当会の医療理念に沿って、地域にとって必要な質の高い業務とサービスを効率的かつ継続的に提供し、患者さんや利用者に満足と安心と信頼をもたれるよう努力していく所存です。
　なお、設立当初２病院８診療所、総病床数340余床、職員数240余名をもって発足しました当会も、医療の一層の充実をはかるとともに、今日の国民的課題とも言える超高齢化社会に対応するため、介護保険の主旨にのっとり、各病院には、訪問看護ステーション、ケアプランセンター、ヘルパーステーション等各種事業所を設置し、高齢者の「健康で生きがいのある快適な日常生活」「幸せで豊かな老後」の実現を目指すなど、介護の問題にも積極的に取り組んでいます。
　さらに平成14年4月には、三池炭鉱の創業とともに明治22年診療を開始した三井大牟田病院を傘下に迎え新たに社会保険大牟田天領病院として発足、現在では６病院、２診療所、介護老人保険施設並びに介護保険法による各種事業所、看護専門学校を総合的に運営し、総病床数1,291床、老健入所定員100名、職員数1,700余名の規模となっています。

　以上の通り当会は昭和26年8月22日民法第34条に基づく公益法人として設立されて以来、今日迄一貫して地域社会の医療の発展と公衆衛生の向上につとめてきましたが、これからも広く地域に貢献すべき努力していく所存です。

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